長野県の歴史を探し求めて

長野県内にある城跡・石造物などを探し求めそれらを紹介していきます。

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松川村   布上城②

何故ここまでの防御施設が必要だったのか?

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麓から見た布上城

この布上城については『信府統記』に『 同山古城地 松川村ヨリ申ノ方三十四丁十六間  城主知レズ

但シ是モ大和田氏ノ持ニヤ 』とあり観勝院城の城主とされる大和田氏の支城であったとしている。


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布上城遺構配置

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布上城遺構配置図

『松川村誌』では、布上城は観勝院城とともに大町しとの境にある西山城の前衛的な支砦と考えられる。

仁科氏は広く南北安曇を支配していたが、その直轄領ともいうべき範囲は現在の大町市の市域といってよく、周辺地域

には親戚被官に分割支配させていた。

(注)天正六年『下諏訪春秋両宮御造営帳』で「仁科之内」と掲載されるのは古厩・耳塚・大穴・中之郷・鵜山・渋田見・

瀧沢・大和田・松川、『矢原庄之内』は多田井・掘金・等々力・重柳・狐島・針俣、『矢原庄』は矢原・細萱・柏原・細野・

池田・庄科、である。同年『下諏訪秋宮造営帳』では「仁科領矢原庄之内」が矢原・細萱・柏原・細野・池田・庄科・古厩・

耳塚が現れる。(中略)大和田・松川については領主不明ながら大和田氏に対比しえようか。」とありこの地の領主は

大和田氏であると思ってよいと思われる。


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北尾根から見た郭②手前の帯郭(北尾根遺構から主要部遺構までは約比高40mを急登しなければいけない)

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布上城主要部遺構図

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北尾根から最初に辿り着く主要部遺構で郭②の手前に構築されている帯郭

松川村周辺の土豪には近世の地誌『信府統記』に観勝院城城主として仁科一族とする大和田大蔵丞盛久、西山城主とし

て矢口知光が記される。

『(前略)、城主大和田大蔵丞盛久ト云人、天文ノ頃此辺ヲ領セリ、是ハ仁科大和守平盛氏ノ末孫ナルベシ、盛氏ハ永正

ノ頃ノ人ナリ、爰ニ住セルニヤ、又仁科ニアリテ此辺モ領地ニヤ詳ナラズ松川村観勝院盛氏ノ建立ナリ』

仁科大和守平盛氏という人物について『神戸村の歴史』には

仁科盛房 - 持豊 - 持盛 - 盛氏(大和田城主大和田氏) という系図を載せている。

布上城周辺を治めていたとされる大和田氏はあまり史料に現れず実態は分からないが、松川道

文が天正8年に納めた願文には『殿様御前・正衛門尉、いよいよ御気よく武運長久・富貴・家内安全・子孫繁栄・御陣も

場ごとの高名を遂げられ、召連れ候被官以下、無病息災たるべき事』という条があり『殿様』とは松川道文の主家である

大和田氏を指しているものと考えられるが、もしくはその上の仁科氏を指している可能性も考えられている。


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布上城西側先端部を見る。

布上城は写真に見えるように、所々岩が露出する険しい山頂部を巧みに削平して構築されている。


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郭②を見る。(奥に堀切①が見える)

郭②は三角形をしており2段に構築されている。北尾根からの登城路はこの郭②に入る。

この郭に柵列や城門が構築され防備を固めていたのであろう。また、尾根の先端になることからここに物見台のようなもの

あったと考えられる。


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郭②から堀切①を挟んで本郭を見る。

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堀切①を見る。

上幅7mで郭②と本郭を分けるように構築されている。ただ、両方の郭側に土塁が構築されていないのが不思議な所で

郭②から本郭を見ると郭間の高さが同じために丸見えとなってしまうのである。


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本郭を見る。

本郭は20m×14mの長方形で西側と東側に土塁が構築されている。郭内部は丁寧に削平されており城主の居住区と

されていたものであろう。


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本郭東側土塁を見る。

高さは0.5mの小規模なものであるが、この土塁の反対側は「岩あらし」と言われている超絶な急斜面となっているので

防御を考える必要がないのでこの土塁は風対策と考えるのが妥当であろう。


この城は大和田氏のものと考えられているが、その他の伝承を伝えるものとして平林氏のものであったとするものもある。

平林氏については榛葉氏の『伝用事』という古文書がある。

この中には『(前略)平林加賀殿万所ニ而壹丁四方城ヲカマへ屋敷有之 然ル所江新野嘉右エ門元来小倉城主子孫也

平林氏之世話ニ成リ居申候所 (後略) 』とあり略すと、『小倉城主の子孫であった新野(榛葉)嘉右衛門が、万所

(板取のうち)において一丁四方の城(屋敷)を構えていた平林加賀という人を頼ってきてその世話になったという事である』


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本郭西側土塁を見る。

本郭の西側には高さ約1.5mの土塁が構築されその土塁はそのまま『天水溜』とされる大穴の縁に続いて行くようになって

いる。


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本郭と堀切②の間に構築されている大穴

宮坂氏はこの穴を『天水溜』と解釈しているが、『松川村誌』は非戦闘員が隠れるための施設と解釈している。

この険峻な山頂に水は無く、水を求めるとすれば山麓にある沢に下るしかなく1~2時間を有する。敵が周囲にいればこん

な悠長に山を下りている場合ではないだろうから、ここは天水溜が妥当ではないだろうか。もっとも雨が溜めるのを待って

いたというわけではなく沢から汲んで来て溜めておいたというのが本当の所だろう。


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堀切②を見る。

堀切②は上幅17mあり城内最大の堀切となっており、両脇は長大な竪掘となっておりその竪掘の側面には竪掘や畝状

竪掘が掘られていおり、厳重な防御で城内を2分している。使用用途が違ったのであろうか。


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堀切②と竪掘①を見下ろす。

この城の最大の特徴は竪掘が複数に連続して構築して、敵の斜面の横移動に厳重に備えている事で、

このような山奥の険峻な山城に何を恐れてここまで厳重に備えているのかが見えてこない不思議な城である。


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斜面下から竪掘①を見上げる。

かなり疲れていたが、斜面を下って見上げてみた。上幅4m・約20m程掘り下げた大迫力の竪掘が見られる。






今回はなが~くなってしまったのでここまでにしたいと思います。

次回はこの城の最大の特徴である畝状竪掘やその他の郭などを紹介していきたいと思いますのでお楽しみに!
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  1. 2014/10/04(土) 17:02:41|
  2. 松川村
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<松川村  布上城③ | ホーム | 松川村      布上城①>>

コメント

まさに秘境ですネ

観勝院山城のご案内ありがとうございました。
比高190m程度で悲鳴をあげる拙者など、黙々と登る比高350mに耐えられる訳がありません(笑)

形の良い山なので物見としては使えても実戦で使うなどとはユメユメ思いもしません。大町市や松川村には現実離れした用途の山城が多いのですが、豪雪地帯ゆえの特徴なのかもしれませんネ。
小生の「鬼の城シリーズ」を超える活躍を念じております・・(笑)
  1. 2014/10/09(木) 20:55:26 |
  2. URL |
  3. らんまる #-
  4. [ 編集 ]

Re: まさに秘境ですネ

らんまるさん返事が遅れてしまいすみません。
県の埋蔵文化財センターの紀要では、布上城は改修されている可能性が指摘されています。
初期は仁科氏配下の土豪による築城、その後武田氏が滅亡時に周辺の城は廃城となるも西山城と布上城は存続し
小笠原氏により改修・増築されたとの推測となっています。
その辺を次回の記事に反映出来たらと思いますので、お付き合いください。
  1. 2014/10/12(日) 02:28:30 |
  2. URL |
  3. ていぴす #-
  4. [ 編集 ]

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現在の長野県内城跡訪城数は   814城です。

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