長野県の歴史を探し求めて

長野県内にある城跡・石造物などを探し求めそれらを紹介していきます。

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松川村  布上城③

布上城は改修されたのか

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布上城主要部の遺構図

長野県埋蔵文化財センターの出版物に「長野県の考古学」というものがあり、その『Ⅱ』に「北安曇郡南部の山城」という、

「市河 隆之」氏の論文が掲載されており、この論文の中で、北安曇郡の山城を残存遺構を元にグループ別に分けたものが

掲載されており、布上城は「Ⅱ類」→「Ⅲ類」への変換を指摘している。


「Ⅱ類」・・・削平地群と広めの郭を連続的に配置するが、複数の堀切で内部を区切る特色をもつ。しかし、堀切で区切られた

尾根上の郭間に大差は無く、主郭の特定に迷うものもある。

本類の立地する尾根は高低差があまりない為に堀切を多用したのだろうか。大町市南西部から松川村にかけて分布して

一群をなす。(中略)、(松川村観勝院山城・大町市大崎城A)



~ 畝状竪掘 ~

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本郭から見下ろした畝状竪掘

「Ⅲ類」・・・城内中間に設置された1本の堀切を挟んで、上方に若干の郭と主郭からなる主郭部、先端側に削平地群を配する

二大別構成の城である。(中略)郭構成が規則的で広域に認められる特色がある。

主郭部は主郭と2~3の付属部からなり、主郭直下に比高差が小さい郭を併設する場合もある。

また、主郭周辺に虎口施設として小平場をもつ例が多い。(中略)(大町市丹生子城・西山城B・松川村布上城・池田町

渋田見城・安曇野市岩原城)


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畝状竪掘を斜面下部から見上げる。

畝状竪掘は、本郭北側斜面に竪掘3本と堀切②からの竪掘の合計4本から構成されており、敵の斜面移動を遮断している。

現状は1m程度の深さに埋まってしまっているが、往古はもっと深く険しかったであろう。

この周辺が「Ⅲ期」の武田氏滅亡から小笠原氏支配時代の改修と指摘している部分で、郭③遺構の尾根続きは「Ⅱ期」

の仁科一族の土豪達が個別で築城していた時代の遺構とされる。


nunogamizyouzumenn (5) - コピー

                  ~ 郭③遺構の古い時代の遺構とされる部分 ~

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郭③を見る。

郭③はよく言われる「未整地空間」というやつで、整地らしき作業はされているようであるが所々段があったり盛り上がり

が見られたりと、郭①などとは明らかに作業量の差が見られる。


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郭③の中央部付近の両端には、堀が存在したような痕跡が残されておりかつてはこの郭は堀切により2分されていた

可能性があり郭を広く取るために堀を埋めて広げたことが考えられる。


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郭③切岸と堀切④の間の帯郭を見る。

郭③と堀切④の間には帯郭を挟んでワンクッションおいて構築されている。

郭③の切岸は約2mあり帯郭を間に挟む事により、堀切の切岸+郭の切岸の2段防御で敵の侵入を遅らせる効果を狙って

いたものと思われる。


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堀切④を見る

堀切④は上幅4mで帯郭側から見ると深さは約2mで単体で見ると小規模であるが、構築主は堀切⑤との連続堀切として

構築する事により大きな効果を狙っていたものと思われるが、この堀の特徴としては、堀切南側は「Ⅲ期」のとされる部分

とは違い竪掘として落としておらず、北側は郭③を囲むようにして帯郭となってしまっている。


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堀切④が帯郭に変化して、郭③にあった堀切痕へ続いて構築されている。

切岸は構築されているが、鋭さは無く緩い。。。。。。このあたりが古い時代構築とされるものか?


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堀切⑤を見る。

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堀切⑤を方向を変えて見てみる

堀切⑤は、堀切④と同じで上幅約4mでけして大きなものではないが、大きな特徴は堀が弓状にカーブをしていているところ

で城内の他の堀には見られないものとなっている。

両脇は竪掘として落としているが、竪掘①や堀切②のように長くは落としていない。


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尾根続きを見る。

堀切⑤より西側に続く尾根続きには未整形の平坦地が続く。

俗に言う「未整地空間」でこれだけの平坦地を利用していない筈は無いのだが、遺構等は見られず整地もされていない。

これらの未整地の空間をよく「領地の住民を収容する施設」などと解釈されている、もし堀切③より西側の遺構などが、在地

土豪による築城残存遺構であれば、立地と合わせて有りうることではないだろうか。


~ 南尾根遺構 ~

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布上城遺構全体図

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本郭南斜面下帯郭を見る

本郭からは、北尾根(登ってきた尾根)と南尾根が発生しており、この南尾根の付け根である本郭南側切岸下には帯郭が

構築され尾根から登ってきた敵に対して防御を固めている。


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南尾根を見る

本郭から南尾根の鞍部までは比高約30mの斜面を下らなければならず、2時間の登山と1時間以上の城内の探索後の尾根

先への遺構探索はかなりこたえる(汗)

南尾根は未整地ではあるが平坦な尾根が約50mほど続き突然に堀切が現れる。


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南尾根堀切を見る。

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堀切を横から見る。

この堀切も上幅約4m程度で深さも1m程度の小規模なものとなっている。

この堀切より先には行っていないが(体力の限界で。。。)遺構が存在する可能性のあるかも。

遮断線としては、北尾根同様に弱いもので、立地によるものか「Ⅲ期」とされる時期には防御の重点は山頂の主要部に置か

れたものと考えられる。


nunogamisiro1 (14)

布上城は初期には仁科氏から分かれた土豪大和田氏による築城とされその後、武田氏滅亡後周辺の城が廃城となる中で

西山城と布上城は(たぶん)小笠原氏に改修されて使用されたものと思われる。

大和田氏は仁科氏・武田氏に仕えた後に帰農したようで没落しているのでその後の城主は不明である。

(推定)小笠原氏の改修は主要部に限られると思われるが、それでは改修前の城よりも縮小してしまうが小笠原氏時代では

民衆を収容するという使用方法ではなく、立地を生かした周囲への警戒がこの城の重要な任務へと変更されていったので

は無いだろうか。

西山城・布上城が改修され残された理由として考えられるのは、『松川村誌』を参考にすると『(前略)、大洞山の背後の峠

から流れるコベ沢がめぐっている。』。。。。という記述で、此の大洞山の背後の峠がどこから来ていたのかは分からないが

峠が存在していたことが分かり、これを警戒する為に改修され残された可能性が考えられるのではないだろうか。

布上城を長々と書いてきましたがどうだったでしょうか?

この人里離れた山奥にこのような素晴らしい遺構が完存していることに感動すると共に残されている事に感謝する気持ちを

このように一つ一つの遺構を詳しく紹介する事で伝えていきたいと思いました。

読んで下さった皆様に伝われば幸いです。

~参考文献~

信濃の山城と館⑦  安曇・木曽編    (宮坂 武男    2013年)

松川村誌 歴史編              (松川村誌編纂委員会  昭和63年)


長野県の考古学Ⅱ 長野県埋蔵文化財センター研究論集Ⅱ    (長野県埋蔵文化財センター     2002年)
『北安曇郡南部の山城』    市川 隆之



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  1. 2014/10/09(木) 03:45:03|
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